
部に法律学科と政治学科が設置されており、政治学科におけるコース制の導入については、先に紹介したとおりである。法律学科におけるコース制も政治学科同様「ガイドライン型」であり、各コースごとに「推薦科目」がリストアップされている。さて、法律学科におけるコースは「裁判と法コース」「行政・公共政策と法コース」「企業・経営と法コース」「国際社会と法コース」「文化・社会と法コース」の5つであり、学年途中でコースを変更することも自由となっている。ここで紹介する「行政・公共政策と法コース」の目標は、「法的な視点から、国や地方公共団体が抱えている問題を正式に認識し、その解決に向けて積極的な取り組みができるような能力を備えた人材を要請する」(法政大学『1996年度法学部講義ガイド(第1部)』4頁)ことに置かれている。各コースに共通することであるが、講義科目は「選択必修科目」「選択科目」「自由科目」に大別されており、このコースのばあい、前2者の推薦科目に政治学関係科目がまったく含まれていない。この点は「行政学」を必修としている早稲田とは異なる。そして「自由科目」ではじめて、「行政学」「政治政策論」「日本政治論」「地方自治論」「都市政策」「社会政策」「経済政策」「財政学」「経済原論」(以上、各4単位)が推薦されている。これは政治学科における「都市・行政学コース」との差別化の意味あいもあろうが、国や自治体が抱える問題の解決をうたっている以上、関連科目をすべて「自由科目」にくくることには若干の物足りなさを感じる。
5. おわりに
以上、きわめて概略的であるが、3つの段階を設定して在来学部の「行政」「政策」指向の改革を紹介した。各大学の取り組みから、ここでは、2つの点を指摘して本章を閉じることとしたい。
第1に、本報告書では「行政学」「政策科学」を並立して扱っており、その前提には在来学部の改革は政策系学部の設立の影響を相当受けているという前提があった。しかし、改革のモティベーションには大きな影響を与えたかもしれないが、カリキュラムをみるかぎり、伝統的な行政学の拡張、各論化を読み取ることができるが、そこに「政策科学」への指向はそれほど現れてはいない。これは第2点に関連する。
すなわち第2に、在来学部の「行政」「政策」指向の担い手は、ほぼ従来からの行政学研究者が中心的であることである。政策系学部が慶応の加藤寛(経済学)、中央の渥美東
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